eve-a60’s blog

ロンドンでの3年間の大学生活を記録したもの。

教授と私と空っぽのティッシュ箱。

 

 

 

 

以前お話した通り、私は中世文学という科目が大の苦手です。

 

 

英語という言語はローマ語、フランス語、北欧の言語を吸収しながら発展してきたそうなのですが、そのおかげでここ最近の私は泣いた記憶しかありません。今週だけで、部屋の箱ティッシュを2箱も使い切ってしまった。早い、早すぎる...。

 

 

 

中世文学のエッセイを書けと言われても、本文の意味が分からないので手も足も出ない。

 

 

 

日本語訳もなかなか見つからない。

 

 

 

歴史的背景に対する基礎知識だって、クラスメイトと比べれば赤ん坊レベル。

 

 

 

こんなの、ドラえもんの道具に頼るほか手がないだろ!

 

 

 

といわけで、私はTerm 2 が始まるやいなや早速文学部のオフィスを訪ねました。

 

 

なぜかって?

 

 

科目変更の申請をするためです。

 

 

しかし、

 

 

中世文学ではなく、もっと他の現代文学に関する科目がやりたい!

 

 

と受付のスタッフに訴えてみるも「全科目が必須だからダメ」と即座に断られる。

 

 

いや、でもこっちは、高い授業料払ってるんだから、本当に興味のある科目しか勉強したくないんじゃい!

 

 

とは流石に言えず、

 

 

 

「でも、ほんっとうに中世文学が理解できないの!今、パニックなの!」

 

 

 

と言葉を変えてみるも、Don't be panic ☺️ と諭されるだけ。

 

 

 

説得力も人間の成功に必要な要素の一つだと自分に言い聞かせて、その後もしぶとく思いつく限りの正当な理由を挙げ続けてみましたが.......ダメなものはダメ。

 

 

 

結局、私が得られたのは

 

 

「科目のキャンセルはできないけど、担当の教授に相談すれば特別なサポートを受けられるかもしれないよ」

 

 

 

という助言と「中世文学の科目で一番偉い人の名前とオフィスの場所を書いたメモ」のみ。

 

 

 

この時点で私は現状が改善される希望をすっかり失っていましたが、とりあえず相談だけでもしてみるかとスタッフに渡されたメモに書いてある教授を訪ねてみることにしました。

 

 

 

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(↑ これ、さっきまで勉強してた詩のワンシーン)

 

 

 

 

「中世文学の科目で一番偉い人」はいつも講義で演説している教授でした。

 

 

 

自己紹介もそこそこに私は早速、自分の絶望的な現状の説明を始めました。

 

 

 

本文も歴史的背景もまったく理解できないこと

 

前回のエッセイで指定の文字数を間違えるという痛恨のミスを犯したために、この科目への恐怖と苦手意識が強まったこと

 

明後日までに提出しなければならない新しいエッセイの存在がストレスになっていること

 

そして、今現在そのエッセイを書くモチベーションが皆無であること

 

 

 

これらに対する教授の返事を、皆さんは予想できますか?

 

 

 

もし、このブログの読者の中に

 

 

「え、そんなのただの甘えじゃん。解決策も何も、勉強するしか手がないんだから、さっさと机に戻りな」

 

 

 

と思った方がいたら、私はあなたを「社会のプロフェッショナル」とお呼びしましょう。

 

 

 

そう、現実はいつだって厳しい。

 

 

 

 

言い方は優しかったものの、教授の返答をまとめると

 

 

 

一度提出した課題は二度とやり直せない

 

 

課題の提出日も延長できないから、とりあえず明後日までに新しいエッセイを終わらせる努力をする

 

 

Work harder ! もっと勉強しろ ☺️ !

 

 

 

 

私は思いました。

 

 

 

きっと、神様と仏様は長期の休暇に出ちゃったんだ! 今、この世には人の他に悪魔と幽霊と法律しかないんだ!

 

 

 

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現実の厳しさに耐えられなくなり、とうとう私は教授のことなんかそっちのけでわんわんと泣き始めてしまいました。

 

 

(まったく、私はなんでよく学校で、それも泣きたくないタイミングで涙が出ちゃうんだろ。卒業式とか泣くべき場では一滴も出ないのに)

 

 

 

「でも、慣れている科目より、自分にとって未知な存在を学ぶことの方が断然価値があるの。だから、中世文学を続けてみて」

 

 

「私もオクスフォードで学生だった時、中世文学の科目でとっても長い詩を解読しなきゃいけなくて、それでよく教授の前で泣いてたの。だって、学年でその詩を選択したのは私一人きりで、内容が本当に難しくて泣かざるを得ない状況だったの。でも、今はその詩を勉強して本当に良かったと思ってる」

 

 

慌てて、泣き出した私のフォローに入る教授。

 

 

「すみません、私は大丈夫です」と言おうとしても、泣きながらでは上手く英語を話せない。かろうじてSorry が発音できたと思ったら私は既に何回もこの言葉を口にしていたらしく、「謝ることなんて何にもないの。もうこれ以上謝らないで」と余計に教授を当惑させてしまう始末。

 

 

 

そして教授は「ちょっと待ってね」と、窓辺に置いてある箱ティッシュまで手を伸ばしてから

 

 

「どうしよう、ティッシュが一枚もない!」

 

 

と箱ティッシュの中身が空っぽであることに気づいたご様子。

 

 

(私は部屋に入った時から、この空っぽのティッシュ箱の存在が気になっていた)

 

 

「ごめんなさいね。私のところには悲しい生徒がたくさん来るの」

 

 

え! 教授のティッシュは全部、生徒に使い果たされたんですか!?

 

 

 

大泣きしてても、そこは一応ツッコミ入れておきます。

 

 

もちろん、心の中で、です。

 

 

 

 

そんなこんなで昨日は私と教授、両者にとっての散々な1日でしたが、来週から教授と一緒に授業の復習ができることになったので、おそらく少しは前進できたんじゃないでしょうか。

 

 

 

そして、気になる課題についてですが、、、

 

 

今日、怒りに任せて一気に書き終えました。

 

 

 

自分のメンタルが崩壊していたので、詩の中の登場人物達も精神の極限状態にいるという前提で考察しました。

 

 

 

エッセイを書いている時の私 ↓

 

「ははは、君たちのメンタルも崩壊してしまえ!」

 

 

 

 

専攻が文学部になったから私の人生、少しは楽になる ♪

 

 

と思ったら大間違い。

 

 

 

いつになったら、私は安らかな日々を迎えられるのでしょう。地球が宇宙人にでも侵略されて、悪魔と幽霊と法律が消滅するまで待たなければならないのでしょうか。

 

 

 

そんなくだらない冗談はさておき。

 

 

そろそろこの記事を締めなければ。

 

 

どんな言葉で締めよう?

 

 

あ!

 

 

 

新しい箱ティッシュ、買いに行け!