eve-a60’s blog

ロンドンでの3年間の大学生活を記録したもの。

「いや、まだ陽は沈まぬ。」(英訳と共に。~走れメロスより~)

 

 

 

私は信頼されている。私は信頼されている。

 

I'm tursted. I'm trusted.

 

先刻の、あの悪魔の囁きは、あれは夢だ。忘れてしまえ。五臓が疲れているときは、ふいとあんな悪い夢を見るものだ。

 

The dream that you’ve just seen is a whisper of the Devil. So, let's forget about it. When the five viscera get exhausted, people are prone to see such a bad dream.

 

メロス、おまえの恥ではない。やはり、おまえは真の勇者だ。再び立って走れるようになったではないか。ありがたい!私は、正義の士として死ぬことができるぞ。

 

Melos, it's not very much a shame. You're still a hero. You could stand up for yourself, and now, you keep running for your friend again. Thank heavens! I'll be able to die as a hero of Justice.

 

ああ、陽が沈む。ずんずん沈む。待ってくれ、ゼウスよ。私は生まれた時から正直な男であった。正直な男のままにして死なせて下さい。

 

Alas, the sun will disappear below the horizon soon. It keeps going down and down. Zeus, don't leave me. I've been always being honest since I was born. So, please let me continue to be a honest man to the last.

 

 

 

Teenageを終えて、手に入れたもの。

 

 

 

 

 

ジブリ作品、好きですか?

 

 

 

例に漏れず、私も幼いころから大のジブリファンです。

 

 

千と千尋の神隠しもののけ姫天空の城ラピュタ風の谷のナウシカ……

 

 

一番好きな作品はなに? と聞かれて、即答できるわけがない。

 

 

一番なんてないの。こういうものには、順位なんてつけちゃいけないんです。

(というようなことを「魔女の宅急便」と即答した母に説教したら、軽やかに無視された)

 

 

 

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けれど、そんな私にも唯一心から楽しめなかったジブリ作品があって、それがこの

 

 

 

 

おもひでぽろぽろ : 作品情報 - 映画.com

 

 

 

 

 

 

おもひでぽろぽろ」なんです。

 

 

 

 

20代の女性が数日間の田舎暮らしを通して自分が小学五年生だった頃の日々を回想するというプロットは、一見するとシンプルで深く考察しなくてもすんなり理解できそうですが、実はこのひねりのなさが私が長年「おもひでぽろぽろ」の趣旨を汲み取れずにいた原因だったんです。

 

 

ハラハラするような事件も、癖のあるキャラクターも、心躍るようなロマンスもない話というのは、小学生だった頃の私にとってどうしても物足りない。

 

 

主人公タエ子の思い出の中で広田くんという男の子がタエ子に好意を寄せていることが発覚するという出来事はあったけれど、それが驚くほど短いシーンだったので「耳をすませば」みたいな展開を期待していた当時の私は「え、これだけ!? 二人が友達になったかどうかも分からないんですけど!? いじわる! その先を、もうちょっと教えてよ!」とロマンス要素を微塵も感じさせない結末に内心かなり不服でした。

 

 

でも今は、それくらいで丁度良いと思います。

 

 

広田くんはなぜ、タエ子のことが好きになったのか。広田くんを意識するようになってから、タエ子の生活は何か変わったのか。

 

 

そんなこと、本当はどうだって良いんです。

 

 

広田くんが勇気を出してタエ子に「雨の日と曇りの日と晴れと、どれが一番好き?」と直接話しかけて、タエ子の「曇り」という答えに「あ、おんなじだ」と嬉しそうにはにかんで、そんな広田くんを見てその日一日タエ子は雲の上を泳いでるみたいにふわふわした気持ちでいた、という純粋な2人の一連のやり取りさえ見れればもう充分です。

 

 

そうだよな。小学生の時って、好きな人と好きな天気が同じってだけで幸せになれるんだよな。それだけでいいんだよな。(*・ω・)(*-ω-)(*・ω・)(*-ω-)ウンウン♪

 

 

......。

 

 

そうか!「おもひでぽろぽろ」をよく理解するためには、作品を鑑賞している私自身が「小学五年生」という時期を回想するのが必要な年齢にならないといけなかったんだ!

 

 

 

つまり、主人公のタエ子と同じ20代を経験していない10代の頃の私がこの話を共感できないのは至極当たり前のことだったんです。

 

 

 

 

おもひでぽろぽろ」は、大人なって自由になれたと思ったのに、本当は小学五年生の頃と変わらず「大人から求められるいい子ちゃん」を演じ続けてしまうタエ子の心の葛藤を描いた話。

 

 

やっと理解できた。

 

 

 

いい子をやめようとすると、「私のこと忘れないで」って甘えん坊のタエ子ちゃんが寂しそうについてくるものだから、思わず立ち止まってしまうタエ子。

 

 

でも、タエ子ちゃんが追いつけるような速度で歩いていたら、今の彼女が行きたい場所には永遠にたどり着けないから。

 

 

だから最後に、タエ子はタエ子ちゃんを遠くに置いてゆく決意をするんです。

 

 

 

 

それはタエ子が自由になるためでもあり、タエ子ちゃんの日々を活かすためでもある。

 

 

 

 

おもひでぽろぽろ」にここまで共感できる日がくるとは、夢にも思いませんでした。

 

 

 

 

10代を失って得たものの大きさにしみじみしている今日この頃です。

愛される花愛されぬ花(私にとって新たな課題となった中島みゆきの歌)

 

 

 

赤い花ゆれる 愛されてゆれる

愛されて頬をそめて 恥じらっている

白い花ゆれる うつむいてゆれる

愛されることなく 恥じらっている

 

 

あの人が ただ赤い花を

生まれつき好きならば それまでだけど

愛される花も 愛されぬ花も

咲いて散るひと春に 変わりないのに

 

 

赤い花枯れる 惜しまれて枯れる

次の春次の春 待ちわびられる

白い花枯れる 音もなく枯れる

風に乗り風に乗り 遠くへ消える

 

 

あの人が ただ赤い花を

忘れられないならば それまでだけど

愛される花も 愛されぬ花も

咲いて散るひと春に 変わりないのに

 

 

あの人が ただ赤い花を

生まれつき好きならば それまでだけど

愛される花も 愛されぬ花も

咲いて散るひと春に 変わりないのに

 

 

 

 

 

 

以下、ラジオの音楽番組で紹介された中島氏のいちファンと名乗る無職の20代女性からのコメント。

 

 

 

「最近、自分が大事にしている赤い花が枯れてしまう瞬間を寝る前に想像しては、たまらなく不安になります。

私は朝になると鏡の前に立って、まるで市場で売られている新鮮な桃の品定めでもするかのように自分の外見の特徴を仔細に調べます。

その際に満開の赤い花が鏡に映れば、その日はもうずっと有頂天で、自分がこの世で一番強力な魔法の使い手にでもなったような気がするんですけど

それは翌日になると、白い花に埋れて見えなくなってしまう。

なぜ私にはこんなに白い花があるのか。

そう思うと、途端に自分が簡単な魔法一つでヒキガエルになってしまう、哀れなほど非力な存在に思えてきてこの世に存在する魔法全てが恨めしくなってしまうのです。

 

赤い花と白い花

 

この二つのどこがどう違うのか、と誰かに聞かれたら

きっと私はうまく答えられないでしょう。

つまり、自分でもよく分かっていないのです。分からないまま、花の色のことばかり考えているのです。

 

いっそ何も分からなぬまま白い花を愛して、開花する瞬間そのものを尊ぶことができたらどんなに楽でしょうか。

 

かわいそうな私の白い花。

 

 

そう言ってこの花を憐れむことはできても、愛しむことは到底できそうにありません。

 

 

そんな私ですが、中島氏の歌声を聴いている時だけは、何故でしょうか。ほんの一瞬でもよいから白い花を愛してみたい、とそう思えるのです。残念ながら、歌を聴いた日の翌朝にはもう赤い花探しに戻ってしまっていますが。

 

 

 

ここにコメントする決心をした時の私は、あつかましくもこのような願いを抱いています。

 

 

【白い花を愛せるようになる魔法が、この世から消えてなくなりませんように。もっと言えば、この魔法の力がやがて強大となり、数年後には花の色で一喜一憂してしまう問題が多くの人にとって過去のものとなりますように】

 

 

今回は私のコメントを採用していただき、ありがとうございます。今後も毎週木曜の夕方に、○○さんの放送を楽しく拝聴させていただきます。」

気づけば日が昇っている。

 

 

 

気づけば、日の出がすぐそこに。

 

 

今朝、ようやく今学年最後の課題が終わりました。

 

そして、終わりが見えない課題の量にストレスを感じて夜食のスパムを早食いしていたら、食道炎になりました。スパム、恐るべし......。もう二度と食べたくない。

 

 

 

 

これから夏休みです。

 

あまりに突然のフリータイムで何をしたら良いのか分からなかったので、とりあえず近所を軽く散歩してみたら、今の眼鏡では向かいから来る人の顔が見えないことが判明しました。

 

私は一体、人生で何回眼鏡を作り直さなければならないんだろう......。

 

 

 

それにしても、

 

 

 

空が眩しいね。

 

 

 

 

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予感。

 

 

 

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近頃、地震が頻繁に起きているようですね。

 

 

 

「何事も起きませんように」

 

 

 

こんな無力な言葉しか送れない。

 

 

 

 

できることなら、アルベール・カミュの小説「ペスト」に登場する爺さんみたいに、いかなる災禍や疫病も坦々とした生涯の一部に過ぎないのだと潔く割り切ってしまいたい。

 

 

 

「–– だが、まあ、そういうもんだね。ほかの連中はみんないいまさ––《さあ、ペストだ。ペストにかかったぞ》なんてね。もう少しで、勲章でもほしがりかねない始末でさ。だが、いったい何かね、ペストなんて? つまりそれが人生ってもんで、それだけのことさ」

 

 

 

 

 

人は結局いつだって、得意な顔をしたがる。

 

 

 

 

 

少し、疲れたみたい。

 

 

一つ眠れば、この胸騒ぎから解放されるかな。

別れの儀式。

 

 

 

 

さようなら、弱虫な自分。

 

 

誰かの言葉がなければ生きられない自分。

 

 

何かに包まれていないと陽を浴びにゆけない自分。

 

 

そんな自分には、きっとまた何処かで会えるから。

 

 

 

それまでは、さようなら。

 

 

 

 

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