eve-a60’s blog

ロンドンでの3年間の大学生活を記録したもの。

愛される花愛されぬ花(私にとって新たな課題となった中島みゆきの歌)

 

 

 

赤い花ゆれる 愛されてゆれる

愛されて頬をそめて 恥じらっている

白い花ゆれる うつむいてゆれる

愛されることなく 恥じらっている

 

 

あの人が ただ赤い花を

生まれつき好きならば それまでだけど

愛される花も 愛されぬ花も

咲いて散るひと春に 変わりないのに

 

 

赤い花枯れる 惜しまれて枯れる

次の春次の春 待ちわびられる

白い花枯れる 音もなく枯れる

風に乗り風に乗り 遠くへ消える

 

 

あの人が ただ赤い花を

忘れられないならば それまでだけど

愛される花も 愛されぬ花も

咲いて散るひと春に 変わりないのに

 

 

あの人が ただ赤い花を

生まれつき好きならば それまでだけど

愛される花も 愛されぬ花も

咲いて散るひと春に 変わりないのに

 

 

 

 

 

 

以下、ラジオの音楽番組で紹介された中島氏のいちファンと名乗る無職の20代女性からのコメント。

 

 

 

「最近、自分が大事にしている赤い花が枯れてしまう瞬間を寝る前に想像しては、たまらなく不安になります。

私は朝になると鏡の前に立って、まるで市場で売られている新鮮な桃の品定めでもするかのように自分の外見の特徴を仔細に調べます。

その際に満開の赤い花が鏡に映れば、その日はもうずっと有頂天で、自分がこの世で一番強力な魔法の使い手にでもなったような気がするんですけど

それは翌日になると、白い花に埋れて見えなくなってしまう。

なぜ私にはこんなに白い花があるのか。

そう思うと、途端に自分が簡単な魔法一つでヒキガエルになってしまう、哀れなほど非力な存在に思えてきてこの世に存在する魔法全てが恨めしくなってしまうのです。

 

赤い花と白い花

 

この二つのどこがどう違うのか、と誰かに聞かれたら

きっと私はうまく答えられないでしょう。

つまり、自分でもよく分かっていないのです。分からないまま、花の色のことばかり考えているのです。

 

いっそ何も分からなぬまま白い花を愛して、開花する瞬間そのものを尊ぶことができたらどんなに楽でしょうか。

 

かわいそうな私の白い花。

 

 

そう言ってこの花を憐れむことはできても、愛しむことは到底できそうにありません。

 

 

そんな私ですが、中島氏の歌声を聴いている時だけは、何故でしょうか。ほんの一瞬でもよいから白い花を愛してみたい、とそう思えるのです。残念ながら、歌を聴いた日の翌朝にはもう赤い花探しに戻ってしまっていますが。

 

 

 

ここにコメントする決心をした時の私は、あつかましくもこのような願いを抱いています。

 

 

【白い花を愛せるようになる魔法が、この世から消えてなくなりませんように。もっと言えば、この魔法の力がやがて強大となり、数年後には花の色で一喜一憂してしまう問題が多くの人にとって過去のものとなりますように】

 

 

今回は私のコメントを採用していただき、ありがとうございます。今後も毎週木曜の夕方に、○○さんの放送を楽しく拝聴させていただきます。」